考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

2010 International Conference on Social Enterprises in Eastern Asia

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7月14日から16日にかけて台湾・台北で開かれた東アジアの社会的企業に関する国際カンファレンスの報告。

もともと、ISTRなどで集まっていた東アジアの社会的企業研究者たちがネットワーキングし、そのつながりの中で今回の会議開催にもこぎ着けた。
これまでに今年3月には台湾・香港の研究者を招いて京都・東京で研究会やフィールドワークを行った。日本NPO学会でも年次大会のシンポジウムに登壇頂いた経緯もあり、今回のカンファレンスでは報告者として招へいいただいた。

初日、朝から基調講演の後、晩まで社会的企業に関する研究報告。
基調講演としてJ.Defournyがヨーロッパにおける社会的企業の台頭の背景、及びその概念について説明。
ヨーロッパでは、EMESと呼ばれる研究グループが社会的企業の研究を引っ張っており、ディフォルニもその一員である。
(最近、EMESはベストプラクティスの収集をしていて、これは東アジアでも行えたら有意義だと思うのだがまた別の話)
彼のこの話は昨年のEMESの大会で聞いたものと大差ないのだが、今回は東アジアの分析も含んで報告していた。

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そこから、2日目の午後までずっと研究報告が続く。けっこうハード。しかし海外の学会はいつもこんな調子だ。セッションの間に20分ぐらいずつ休憩が入るが、その間もお茶とお菓子を手に議論が立ち話で続く。

ところで日本からは私を含めて4名の研究者が報告したのだが、それぞれがそれぞれに社会的企業を類型化していたので、聴衆はいささか混乱したようだ。いったい日本の社会的企業とはどんな全体像なのだ、と。
しかし、それはこちらも同じで、他国の研究報告を聞く際には、その国(あるいはその研究者)の定義・類型がどのようなものなのか、注意深く聞かなければ研究の意図・成果・限界を理解できなかった。

社会的企業概念はいまのところ多義的であり、そしていささか混乱している。
たぶん東アジアの特殊的状況が助長しているところもあるかと思う。
つまり、ヨーロッパ型の社会的企業概念と、アメリカ型の社会的企業概念が同時に輸入されており、さらには土着の議論・現状があるため、それらがいまだ定着に至っていない。
(日本の状況として個人的には、研究者はヨーロッパ型の概念を。実践者、というかコンサル系の人はアメリカ型の概念を好んで用いているように思う)

しかしながら収穫だったのは、東アジアに共通する社会的企業の活動領域(あるいはその類型)が見いだせたことだ。

ひとつは社会サービス供給。
たとえば台湾でも介護保険導入が議論されているとかで、そこでの社会的企業の位置づけ・経営の在り方が問題となっている。

ふたつめは労働包括。いわゆる、WISE(ワイス:Work Integration Social Enterprise)である。これは障害者はホームレス、外国人と行ったメインストリームの労働市場から排除された人達の就労支援等を行う社会的企業の総称である。日本でもビッグイシューなどは有名だ。

そしてみっつめはコミュニティ・ディベロップメント型。コミュニティビジネスといってもいいかもしれない。地域活性化を行う団体のことだ。

こうした領域的に的を絞り、今後、比較の軸を明らかにして国際比較分析を行っていくことで、東アジアにおける社会的企業の特徴が明らかになってくると思う。

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(2日目夜の懇親会。ビール工場内のレストランにて)

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