考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

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ルーマニアの事件の受け止められ方と、それについて思ったこと

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痛ましい事件が起きてしまいました。
亡くなられた方のご冥福を心からお祈り致します。

NHKニュース「ルーマニア女性殺害 日本人と確認」
8月20日 17時57分

ルーマニアの首都ブカレストの郊外で、日本人女性とみられる女性が殺害された事件で、被害者は、日本語を教えるボランティア活動に参加する予定だった、東京の大学に通う日本人女性であることが確認されました。

この事件は、ブカレスト郊外の道路脇で、17日、日本人とみられる女性が死亡しているのが見つかったものです。
ルーマニアの警察が殺人事件として捜査を進めた結果、目撃情報などを基に、26歳のルーマニア人の男を殺人の疑いで逮捕し、亡くなった女性は、パスポートなどの所持品から、兵庫県出身の益野友利香さん(20)と確認しました。現地の日本大使館によりますと、益野さんは東京の大学に通っていて、ルーマニア南西部のクライオバで日本語を教えるボランティア活動に参加するため、今月15日にブカレストの空港に到着したということです。
警察は、空港の監視カメラの映像などから、容疑者の男が益野さんと同じタクシーに乗る様子を確認しており、犯行の状況や動機などについて男を取り調べています。



ネット上では既に、この事件の詳細が漏れ伝わってきています。
被害者は、アイセックという歴史ある国際的な学生団体が派遣した学生であったとのこと。

このことから、事件の責任を問い、非難の矛先をアイセックに向ける言動も、ネット上で見られるようになっています。

企業コンサルをされているという大関氏は、同氏のブログおよび BLOGOS(ブロゴス)にて、アイセックの対応を次のように批判的に述べておられます。

(前略)
大きなリスクが伴う恐れがある事業を、学生と言うビジネス素人が手掛けることが本当にいいのか。ネットの書き込みを見る限りにおいては、これまでにもアイセックのアレンジによる海外インターンシップ先で「行ってはみたものの、ろくな仕事が得られなかった」「大学を休学手続きをした後で、突然キャンセルになり困った」などのクレームも聞かれ、その運営に不安を感じさせるものが見受けられもするのです。
(中略)
やはり子供の“ビジネスごっこ”に過ぎなかったか、と言われても仕方のない状況ではないでしょうか。大人のマネをしてビジネスまがいのことをしてはみたものの、リスク管理が甘く事件が発生。挙句にこれはまずいとダンマリでは、全く子供の仕業です。
(後略)

ルーマニアで女子大生が殺害された件とアイセックという団体について/大関暁夫


この記事、おっしゃることはごもっともなのですが、こういう書き方は、アイセックがビジネスでこの事業を行っていたような間違った印象を与えますし、またそのために、NGOの活動とは何か、そしてそこで発生するリスクに対する責任をどう考えるか、という問題をミスリーディングさせかねない恐れがあるように思います。

アイセックはインターンシップや長期ボランティアを、世界各国の団体と連携して行っている団体です。

リンク:アイセック本部のホームページ※英語です

同様の活動を行っているNPOは日本に複数あります。私が知っているところでは、団体が責任を持つのは活動の提供のみであり、現地到着まではあくまで「自己責任」となっています。上記ブログ記事上、ドアツードアで責任を持つべきという主張をされていますが、提供されているサービスはそうではなかった可能性も多いにあると思っています。ただこれは、現在、アイセック・ジャパンのホームページがダウンしているので、事実を確認する方法がないので、あくまでも推測です。

しかし一般論としては、確かに今回の件は、NPOのリスク管理の問題を問い直すべき重要な機会だと思っています。日本ではなかなかボランティア活動の「自己責任」が理解されにくい環境もありますから、そこをきちんと整理し、説明する「説明責任」を今後、徹底する必要があると思います。

例えば東日本大震災では、ボランティア活動について当初「自己責任」がことさらに強調され、安易に行くな、というメッセージが発せられました。ところが発生後一ヶ月も経たないうちに、文部科学省は大学に向け、「ボランティアに行く学生には極力配慮せよ。場合によっては単位も出せ」というような通達を出すなど、混乱を極めました。国からして、ボランティアのリスクマネジメントの発想は、呆れるほど欠如しているように思いました。
(詳しくは拙ブログの以前の記事「震災ボランティアの単位化?」を参照)

あるいは、非営利でこうした海外ボランティア・インターンシップ経験を提供している「業界」が連名で何らかの声明を出す必要もあると思います。今、「説明責任」は一般の人たちに向けても重要となっている局面だと思います。そうしなければ、このままでは「うさんくさい」業界として評判を下げ、NGOへの活動の理解・信頼が遠のくでしょう。

最後に改めて述べますが、今回のことは、ほんとうに痛ましい、残念な事故です。遺族の方の無念さを思うと言葉もありません。私も「何とかならなかったのか」と悔しく思います。しかし、必要以上に「団体叩き」をするのはどうなのでしょうか。私はアイセックとは縁もゆかりもないので、擁護する義理も何にもないのですが、ネット上で叩かれまくって、あげく犯罪者と同列に責任があったかのように扱うような言動を見ると、「そこまで言うか?」とも思ってしまいます。それによって、歴史ある素晴らしい活動が潰されるとなると、それも非常に残念でなりません。事件の全容が明らかになり、またアイセックから何らかのメッセージがでるまで、溜飲を下げるためであるような、無責任で過剰な反応は控えるべきだと思います。

痛ましい事件を乗り越え、よりよい活動になることを願い、私も考えていきたいと思います。

<2011.8.21 追記>

アイセックから声明が出ました。

ルーマニアに渡航した邦人女性が同国内で亡くなられたとの報道がなされておりますが、

当団体ではご遺族のご意向を踏まえ、本件に関して一切の説明を差し控えさせて頂きます。

2012年8月20日

特定非営利活動法人アイセック・ジャパン


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