考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

社会政策は輸出学問になれるか

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前回の記事では肝心の学会の内容に触れられなかったので、今回のはそのフォローと言うことで。
とは言っても、前回の記事で書いたとおり、ほとんどまともに参加していなかったので単なる「ひとりごと」に過ぎないことをお断りしておきます。

「日本は世界に自国をアピールする機会をみすみす逃した」
というのは中国からの留学生(今はもう研究員)の方の談。
懇親会で話していて出た話題である。
中国・韓国はいままさにイケイケだから、世界中から関心を集めている。
日本でも若者の間でアメリカへの留学が激減している代わりに、中国への留学が増加しているという。
(だから一概に「最近の若者は内向き」とも言えないと思うのですが)

他方で日本はどうか。もはや経済一流だとは国内でも誰も思っていないだろう。
ある先生が、80年代に海外の大学につくられた「ジャパン研究センター」は次々に「(東)アジア研究センター」になっているという話をされていた。
いまさら海外からの関心を引こうと思っても、もはや手遅れなのかも知れない。

しかし今回の学会で改めて確認したのは、社会保障・社会問題対策において日本は他の東アジア諸国の先取りをしているという事実。
例えば高齢者福祉ひとつとっても、介護保険は韓国は数年前に始めたばかりだし、台湾も来年から始めるところ。
だから日本の経験というのは、例え「他山の石」となろうとも、よい見本になり得るのだ。

学会では東アジア諸国における社会保障制度の比較研究なども複数、披露されていた。
報告者曰く、「アメリカやヨーロッパの福祉国家レジームとは直接比較対象にはなり得ない」とのこと。
(私が言ったのではありませんから。念のため。学問的には意見が分かれるところだと思います)
思い切って意訳すれば、文化的・地理的に近い東アジア諸国内での比較検討や相互の学び合いは重要だということだろう。

しかしこの分野でもやはり日本はアピールが足りない、と思う。
例えば、日本のコミュニティワークについて留学生の研究指導をしようと思っても、英語の文献がほとんど見つからないのだ。
文科省はただ留学生の数を増やすことにやっきだが、こうした「中身」が十分に準備されていないのに留学生を集めても何を「輸出」できるのだろうか。
今の政府も研究費を削っているわけで、こうした知的なリソースの輸出戦略、もっと言えば日本の国際社会での存在感を高める戦略をどう考えているのか、疑問に思う次第である。

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