考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

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イーストスカボロー・ストアーフロント訪問

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East Scarborough Storefront を訪問した。
直訳すれば、東スカボロー地区の店頭?
良い訳が思いつかない…

トロントの郊外、東スカボロー地区において、生活が困難な人々へ多様なサービスを提供しているNPOである。2001年2月にオープンした。

余談だが、東スカボロー、ダウンタウンから遠かった…。
電車とバスを乗り継いで、そこから歩いて、1時間半ぐらいかかったかな。

(ストアーフロントの外観です)
DSCF3097.jpg


サービスを提供している、という言い方は少し誤解を与えるかも知れない。もちろん独自に行っているサービスもあるが、それ以上に、そうしたサービスを行う「組織群」をつなぎ、効果的に問題解決を図っているハブ(HUB:中心)であることこそがこのNPOの特長である。38以上の機関とコミュニティ団体と共同している、とホームページにはある。

日本でも最近、お役所がやっと「ワンストップサービス」を始めている。そうした取り組みを、以前より実施しているのがこのNPOなのである。


この、東スカボロー地区は、移民が多い地域だ。オンタリオ州の中でも、もっとも公共住宅が密集しているところでもあるらしい。廉価な民間賃貸マンションも建ち並び、全住民の3分の1が、貧困層(貧困線以下の所得水準の世帯)とのこと。

(拠点の横にあるコミュニティガーデン。ここもストアーフロントが運営している。また背後には高層マンションが見える)
DSCF3095.jpg

(近くには郊外の象徴である巨大ショッピングモールがありました)
DSCF3094.jpg


ここは、トロントの中心部からも外れているので、移民の人たちは仕事も見つけにくい。ましてや言葉の問題もある。就職支援が必要となっている。

そうした人たちが住む地域であるので、というか、そもそも郊外地域の宿命として、コミュニティの交流が薄い。移民の人たちが何かを相談しようにも、頼れる人がいないのだ。

そうしたことからストアーフロントでは、サービス提供の他、移民の人たちが地域に馴染めるよう、拠点での交流ができるようになっている他、地域活動への参加といった社会参加の支援も行っている。

2008年度のデータによれば、ストアーフロントは1万5千人以上の人を支援している。また600人以上の住民の地域参加を促したそうである。そして、393人のボランティアが1万1千時間以上を支援に費やしている。

この拠点を入ったところには、受付があり、その隣に誰でも自由に使えるパソコンやFAXがある。
DSCF3104.jpg


キッチンは本格的な業務用のものだ。ここで民族的な団体が料理教室をしたりしている。また外にはコミュニティ・ガーデン(地域の共同畑)がある。このように、地域住民が交流できる仕掛けや取り組みが複数なされている。
DSCF3101.jpg


ストアーフロントの拠点は、元々、警察署だった。それが移転する時に、10年ローンで借りたそうだ。そしてリニューアルする時には、子供達も含め、地域住民が集まって、どのような施設にしたいか、ワークショップをしたそうである。
その際に、トロント大学の学生達も、協力している。ストアーフロントではそのような、大学と地域とを「つなぐ」役割も担っている。いわゆる「サービスラーニング」、あるいは「コミュニティベースドリサーチ」である。前者は、学生が地域でボランティア的に諸活動を行う中で学ぶ取り組みであり、後者は地域を研究のフィールドとし、地域にもメリットがある形で研究成果を生み出すものである。

(ワークショップについてのパネルです)
DSCF3102.jpg


ストアーフロントは、政府の補助金やその他民間財団の助成金から資金を調達し、これらの事業を行っている。

単純に比較は出来ないが、日本ではこうしたコミュニティをベースとした社会的企業というのは、あまり見かけないように思う。必要性がない、のかもしれない。日本では政府が様々な公共サービスを提供している。例えば雇用支援ならばハローワークが各地域にある。そして、一般的には、地縁組織が未だに健在で、民生児童委員といった半ボランティア的な、かつ半公務員的な身分で地域住民が相談業務を担っているからだ。

ところが、どうだろうか。もしもこれから日本でもこうした東スカボロー地域のような、ある種の「困難地域」が増えてくる可能性はないと言い切れるだろうか。そうした場合、地域住民での問題解決には限界があるだろうし、ひょっとしたら行政の手にも余ることになるかもしれない。

その時に必要となってくるのは、こうしたストアーフロントのような取り組みであるように思う。そうした意味で、この事例は、日本を先取りしたものだと言えるのではないだろうか。

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