考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

2012年度卒業ゼミ生への送辞

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(以下、2011-12年度桜井ゼミ卒業論文集に寄せた巻頭言から転載です)

 ご卒業おめでとうございます。思えば早いもので、私もこの学部に奉職して、6年が過ぎようとしています。皆さんで、きちんと面倒をみたゼミとしては、3代目になりました。思えば、縮約などの重たい課題を課したり、震災被災者支援などのプロジェクトを急に企画したりと、無茶振りが多い大変なゼミでしたね。それにも関わらず、まとまりもよくついてきて頂き。本当にありがとうございました。毎年毎年、ゼミの運営は試行錯誤です。皆さんにとっては1回限りのことなので、失敗は許されないわけですが、しかし新しいことに挑戦しなければ私自身新鮮な気持ちでいられません。何より成果もないのです。その意味で、私自身、学びの大きいゼミでした。

 皆さんが大学生活を過ごした期間は、ふり返ってみれば、大変激動の時代だったと思うでしょう。世界では、入学前に、リーマン・ショックという世界的な金融危機があり、アメリカで初の黒人大統領が生まれました。そして入学されてからは、ヨーロッパでは大変な財政危機があり、アラブ諸国では過激な民主化運動が起きて多くの国でクーデターが発生しました。国内に目を向けると、政権が二度も入れ替わり、それが原因で、周辺諸国との関係がぎくしゃくしました。そしてとても大きな地震と津波が起きました。多くの人が亡くなられるとともに、放射能汚染をもたらした原発公害(私は原発「事故」ではなく、こう呼んでいます。事故では、電力会社に責任が無かったかのような表現であるからです)。により、自宅に住むことができない避難民が国内で大量に生まれました。

 卒業論文を書く、というのは、個人的営為でありながら、同時に社会的な行為であるとも思います。データを集め、問題関心を「問い」の形にし、そしてその問いに答えるべく、時には実際の当事者に話を聞き、あるいは集合的なデータを解析し、そこに何かの「意味」と「異見」を見出す…すなわち、何か一つのテーマについて、学術論文の形式を取って深掘りする作業は、自身の取り巻く<社会>との相互コミュニケーションをとる作業に違いありません。みなさんが取り上げた卒論のテーマは、間違いなく、ある時期、皆さんが生きた証しでもあるのです。そしてそれは、ある時期の記録として、他の人が一般的に見ても、大変意義あるものだと思っています。

 私が学生の時は、形式主義が嫌いで、卒業式もまともに出ず、卒業なんて紙っぺら一枚のことと特に感傷的になることはありませんでした。しかし、馬齢を重ねて分かりましたが、他人の何かを自分事のように祝ってくれる人がいるというのは、とても有り難いことです。べつに、私に感謝しろ、ということではなくて(笑)、みなさんの大学生活を支えてくれた人は、周りに大勢いらっしゃると思います。大切な人に感謝の意を伝えられる機会というのは、そうありません。気恥ずかしいとは思いますが、ぜひ、この冊子と共に、それを伝えてください。

 2年間、誠に有り難うございました。今後のご活躍にご期待申し上げます。

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