考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

EMES International conference レポート〜あるいはベルギー・リエージュ食い倒れ記録

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7月のことになりますが…ベルギー・リエージュにて、4th EMES International Research Conference on Social Enterprise に参加しました。初日プレナリーセッションからエキサイティングで興味深い議論があったので備忘録的に書き留めておきます。

オープニングでは、ラウンドテーブル「岐路に立つ社会的企業」と題して、4人の論者が登壇しました。それぞれが、それぞれの理論、というか「こだわり」を披露した場となりました。

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リュージュ大学のジャック・ディフォルニは、回顧録的に、15年以上前にEMESネットワークで社会的企業概念を提起した時の議論の経緯を紹介されました。非営利組織と協同組合の概念を包括して、サードセクターのダイナミクスを端的に捉えた概念が必要だということで、9つの基準で定義された「社会的企業」概念が生まれたと言います。

ジョージア州立大学のデニス・ヤングは、非営利だからといって社会的企業と呼べるわけではなく、組織形態では定義できないので、社会起業家行動(social entrepreneurship)にこそその本質を求めるべきだとしました。そして、社会起業家行動はセクターを越えて見られるものであると述べていました。

ケンブリッジ大学のヘレン・ヒュージは、その社会起業家行動と区別し、コミュニティの少数のメンバーがコミュニティの問題解決のために社会的企業を立ち上げる「コミュニティ起業家行動」(community entrepreneurship)概念を提起し、それに注目していました。(調べてみると、コミュニティ起業家行動の研究はそれなりに蓄積があるようで、それを牽引している一人がこのヒュージのようです。大学の実践家向け養成コースもありました)

ジャン=ルイ・ラヴィルは、非営利組織も社会的企業も社会起業家も「組織アプローチ」の概念であり、その捉え方の狭隘さを批判しました。そして、カール・ポラニーの考えをベースにした、サードセクターの経済的側面や政治的側面(社会運動など直接民主主義的な行為を含む)をも含めて捉えた「連帯経済」概念を考慮するべきだと主張しました。ラヴィルは、グラノヴェッターやハバーマスなど、多くの理論を引用しながら、その概念の精緻化をしているようです。

今回の学会は社会的企業の国際学会なのですが、さっそく多様な概念の議論が展開されたので、ついていくので一杯一杯。しかし、それだけに、刺激的な場でもありました。

思えば、私が海外学会デビューしたのは30過ぎてからで、それまでにまともな留学・海外研究経験などなかった中での、無謀な挑戦とも言えた。初の英語報告はボロボロ(今でもあまり変わりない)。他の人の報告もほとんど聞き取れず、情けない気分でいっぱいでした。

それでも、刺激も、得るものも大きかったのです。日本の学会とは異なる、オープンで、基本的に「いいとこ探し」の議論スタイル。休憩時間にもロビーにお茶とお菓子が用意されていて、皆休んでなどおらず、議論の延長戦が行われる。そこで、海外の研究者達と同じ問題意識を共有できることは、何物にも代え難い興奮でした。また、(あの語学力で)今に繋がる国内外の研究上のコネクションが出来たことは、奇跡的としか言いようがない。自分は運が良かったとつくづく思います。

そのつながりで今回実現した、「東アジアの社会的企業セッション」。盛況、とまではいきませんが(そもそも、閉講して開催されているセッション数が多いので、どこのセッションもオーディエンスは少数。その分、濃密に議論がなされます)、議論も含め、実り多い内容になりました。(写真は、その報告メンバーと)

今回のベルギーの学会は、わりとその、初回の興奮を思い出すだけの、出会いや刺激があった。ああいう経験は麻薬的な作用があって、「もう一度経験したい」と、しんどくてジミで地道な研究作業を黙々と続けられるモチベーションになったりする。あ、あと、今回の学会では「宿題」も出ているので、それも、他の日本の先生方と進めなきゃいけない…まあ、がんばりましょうか。

おまけの写真。懇親会会場の古城のレストランで、乾杯前に演説するジャック・ディフォルニ。オーガナイザーとして、EMESの15年間を回顧しての熱っぽい演説でした。
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追記。ここからは、「食べ物」ネタ。食べたものの記録です。

これは、日本人グループで夕ご飯に向かっていたところ、同行していた一人の先生が、たまたま現地の知り合いの方に出会い、教えてもらったコテコテの食堂で食べた、現地料理です。
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「ブレ・ア・ラ・リエジョワーズ」というそうで、リエージュの郷土料理。要は肉団子です。甘辛い味付けで、日本人好みかと。リエージュ大学の先生いわく、「海外旅行から帰ってきて一番に食べたくなるもの」だそうです。
付け合わせはフリット(フライドポテト←これもベルギー発祥)と、リンゴのすり下ろしたもの。リンゴのすり下ろしは、ポテトに付けたり、そのまま食べたり。
もちろん、ベルギービールも。

そして、リエージュ滞在最終日に、ベルギーワッフルにありつけました。コッチの発音だと、ゴーフルって言うんですね。神戸の銘菓みたい…。
それから、ベルギーワッフルにも二種類あって、ブリュッセル風と、リエージュ風があるそうです。
せっかくリエージュに来たから、リエージュ風を食しました。(というか、それしかカフェにはなかったのだけれど)
ブリュッセル風は、やわらかくていろいろとトッピングがのっているやつ。リエージュ風は、硬くてシュガーコーティングみたいになっているやつ。
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ちなみに飲み物はカプチーノを頼んだのですが、これも何か違うwww
もちろん、どちらも、美味しかったですよ。

最後は、リエージュ大学の学食。
上記の現地料理の肉団子、そしてスパゲッティ・ポモドーロ。これも、美味しかったです。
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ついでに学食のお姉さんもパチリ。
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