考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

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アメリカNPO学会(ARNOVA)参加。

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アメリカNPO学会(ARNOVA; The Association for Research on Nonprofit Organizations and Voluntary Action)に参加してきた。参加だけで、報告はしていません。準備する時間がなかったというのは言い訳ですが、とてもとても、ネイティブの学会で発表できる語学力はない…と思っていたので…。

今回の大会は、コネティカット州ハードフォードのマリオットホテルで行われました。

ハートフォードは、アメリカ中の保険会社の本社があるところ、だとか。写真のように、高層ビルが乱立。左側の門は、南北戦争のメモリアルゲートらしい。
写真 2013-11-23 8 54 16

また、市内の川沿いには、「アンクルトムの小屋」の作者、ストウ夫人の像がありました。差別廃絶運動をしていた親の元、この地で育ったとか。一緒に立っているのはリンカーンですが、二人は別にこの地で出会った訳ではないようです。
写真 2013-11-21 9 23 13


しかし、発表しなかったことや、そもそもの語学力の問題はあるとはいえ、今回の参加は、それほど「実りある」とは言えない成果だったように思う。その理由として、まず、理論的に得るものが少なすぎた。これは、常連の日本人の先生も指摘していた。昔よりも理論で勉強になるセッションが減った、と。

ARNOVAの学会誌は、理論をおさえて実証(それも計量がベター)していないと、ほぼ掲載されない。インパクト・ファクターも高い、NPO研究では間違いなくトップの学術雑誌だ。そのイメージが強かったので、大会でもよっぽど、緻密な研究報告がなされて、それを理論とか方法論の観点から叩き合いの議論がなされているのであろう…と思っていた。なので、今回、大会に参加してみて拍子抜けしてしまった。報告は未完成な研究の話ばかりだし、そしてそれに、質疑応答も、いい意味で言うと、前向きに、その研究の今後の方向性や実践への活用方法などが議論されていた。まったくと言っていいほど、方法論については問われていなかった。
(余談だが、ポスターセッションはさらに稚拙で、これならうちの学部生の方がよっぽどの研究をしているのでは…と思っていたら、なんと、高校生の作品もあったようで、今回の大会のベストポスター賞に選ばれていました。)

別に学会自体の質が低いというわけではないので、誤解の無いよう。私が期待(というか恐れ?)が強すぎたのだと思う。確かに、アメリカでの特定のテーマに関する議論の「相場観」が分かったという意味では一つの収穫はある。災害支援の分科会にいくつか参加したが、日本と同じ論点が議論されているなあと思った。例えば、寄付は災害直後に一気に集まるが、支援はその後長期間にわたるが、どうするのか、とか。コミュニティのレリジエンス(強靱性)を高める必要があるが、災害が起きれば既存の組織ネットワークは機能しなくなるので、どう再構築するのか、とか。また、別の話題で言えば、社会的企業については米国でも、概念や組織形態(営利か非営利か)の議論に終始しているんだなあ、とか。しかしやはり、そうしたアメリカのドメスティックな議論に関心がなければ、学術的には刺激がなかったと言わざるをえないかなあ、とも思う。

それに、大きな理由は食事である(笑)。一度、ランチで美味しいのがあったけど、それだけ。懇親会も軽食しかなかったしそれにドリンクは有料だった。これは、ヨーロッパ等で開かれる学会とは、大きな違いです。向こうはそもそも、食事が美味しい。それだけで、学会に行こうという動機になりますww
(ところで、常連の先生が、「年年、レセプションの食事の質が押している気がする。企業寄付が集まりにくくなってきているのではないか。NPOの研究自体に魅力が無くなってきているのではないか。」という極めて鋭い洞察をされていたのが印象的。)

食事の時に、こういう「スポンサー」への敬意をきちんと示すところがアメリカっぽい。
写真 2013-11-21 18 19 45

ただし、報告内容以外のところで、興味深いことはいろいろとあった。例えば、アメリカの学会では、研究者の採用公募情報がボードに自由に貼れるようになっていたり、休憩時間に採用面接までしているらしい。今日、面談したってポスドクの人が言っていたよ。しかも審査員が自分の報告を聞きに来ていたらしい。確かに研究内容や人柄が良く分かるし合理的かも。

また、学会でいろいろな「アワード」(賞)があって、それが2日目のランチタイムに、長々と発表されていたのも、面白かった。ベスト論文、ベスト報告、ベストポスター、ベストリサーチャー、新人賞、ベストレビュアー…こういうのがひとつのモチベーションになるし、そして業績にもなるということですね。

写真 2013-11-22 12 36 05

いい意味では、学会が一つの「コミュニティ」として、NPO研究者同士の絆を強めると共に、研究を盛り上げていこう、という雰囲気があるところだなあと思った。日本人の自分が行っても、皆きさくで、話しかけたらすごいいろいろ話してくれて、顔見知りもできた。アメリカは時として、研究の世界も激烈な競争社会であるかのように語られる。しかし、こうしたアカデミックコミュニティが存在していて、科学の発展に寄与していることも、もっと知られてもいいのではないかと思う。

ただ、いずれにしても、アメリカのドメスティックな学会、という印象は強かった。次回以降の参加は、どうしようか…というところです。


おまけ。

マリオットホテルのトイレに入ると、こんな感じに手を拭くためのタオルが山積みに。紙でもなく、温風が出るマシーンもなく。さすが高級ホテルやなあ、とおのぼりさんは思ってしまいました…。
写真 2013-11-22 16 37 17

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