考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

コミュニティガーデン(国際会議IFS参加記1)

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バンクーバーで開かれた地域福祉(セツルメント・ネイバーフッドセンター)の国際団体「The International Federation of Settlements and Neighborhood Centers」(IFS)の世界大会に行きました。


参加した分科会の一つに、「コミュニティガーデン」に関するものがあります。ガーデン、と言っても、食べられるものを植えることが多いので、日本語訳すると地域菜園、あるいはコミュニティ菜園という言い方が良いかと思います。分科会は参加者が50人近くと、参加した中で一番の客の入りでした。それだけコミュニティセンター・セツルメント関係者の間で関心が高いのでしょう。
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このコミュニティガーデンは、カナダはもちろん、アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアなどで盛んに取り組まれています。その取り組みの意義、言い換えれば関心の持たれ方には、大きく三パターンあります。

一つ目は、食べられる物を作ることで、安全で健康な野菜や果物を安価で手に入れることができるという、フードセキュリティ(※1)上の意義です。貧困地域での取り組みはそうした意義を持った所が多いですし、またそうでなくても、余った収穫物をフードバンクに寄付するというところも多いです。あるいは、子供に対しては、作物の育ち方を理解し愛着を持ち、時には作物を一緒に料理して食べることで、野菜の美味しさを理解するなど、食育的な効果も期待されます。

(※1…日本ではフードセキュリティは食料安全保障と訳され、食料自給率の問題に矮小化されていますが、世界的には栄養のある食料を十分に手に入れることができる権利を保障することとされています。)

二つ目に、環境への効果です。緑地を増やすことで、例えば都市ではヒートアイランド現象を軽減し、二酸化炭素排出量を削減することが期待されています。また緑が多い中での生活は、都市生活者にとって気持ちが豊かになるでしょう。

三つ目に、コミュニティガーデンの「コミュニティ」の部分での意義です。共に菜園を育てる作業を行うことによって、人々の間のコミュニティを育てることができると期待されています。また、社会的に排除されがちな人々を、コミュニティへ結びつける効果も期待されています。さらに生徒・学生が参加することで、コミュニティを理解する場にもなります。例えば、分科会でグループに分かれて話合いになった時、私は、障害者支援、女性虐待防止、子供教育を行っている方々と一緒になりました。それぞれの立場から、コミュニティガーデンのコミュニティを創る可能性に期待しているようでした。

カナダでは各自治体・州も、このコミュニティガーデンの可能性を認識し、支援を行っています。例えばバンクーバーでも食料安全保障戦略の一環として、コミュニティガーデンを推進しています。トロントでは貧困者向けの公共住宅マンションでコミュニティガーデンの設置を推進しています。コミュニティガーデンを運営するNPO同士のネットワーキングも各地域で進んでいます。

日本でも大いに可能性がある取り組みだと思っています。帰ったら、ぜひ広めたい。

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