考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

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子どもの食の貧困(9/25NHKクローズアップ現代視聴メモ)

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9/25のNHKクローズアップ現代は、「おなかいっぱい食べたい ~緊急調査・子どもの貧困~」というテーマでした。
先月(8月)、子どもの貧困対策に関する大綱が閣議決定されたことを受けて、放送されたようです。
日本でもようやく、「フードセキュリティ」について関心が持たれつつあることをうれしく思うとともに、番組を見ていくつか気になったことがあったので、以下、メモ書きで記録しておきます。

まず、番組冒頭で日本の子どもの貧困率は16.3%と紹介されていましたが、これはいわゆる相対的貧困率のことだと思います。相対的貧困率は、所得再分配効果を無視しているなどの問題があるため、特に日本では高く出ていることに注意した方が良いと個人的には思っています。相対的貧困率だと、カナダより日本の方が貧困率(子どもだけでない全体の)は高くなるのですが、そんなの肌感覚では、あり得ないと思えるのですよね…。統計のマジックではないかと思うのですが。このことは、社会実情データ図録「相対的貧困率の国際比較」が分かりやすいです。

今回、番組で実態を調べたNPOとして紹介されていたのが、フードバンク山梨さんでした。実はここは日本のフードバンクには珍しく、以前から個別支援に力を入れているところです(このことは後で詳述)。世帯の貧困状況を調べた報告書がこちらからダウンロードできます(注PDF)

給食費無料化した自治体の話がありました。カナダの貧困地域支援NPO関係者は、日本には給食があるからいいよね。すごいよね。と話してましたね。また、豊島区のNPOがおこなっている子ども食堂も紹介されていました。カナダでは、各地域のフードバンクが無償で食料を提供している他、その寄付された食料の一部を使って調理して提供するコミュニティレストランが併設されていたりします。無料だったり、安価で提供しています。日本でもそのような、フードバンクだけでない、コミュニティでのフードセキュリティの包括的な仕組みが必要だと感じています。

カナダ・トロントでもっとも精力的にコミュニティでのフードセキュリティのシステム作りをしているNPOは、コミュニティ・フード・センター・カナダです。ここは体系的な取り組みで、地域の食の貧困から始まり、食育や、栄養ある食の流通システムまで各コミュニティレベルで構築しようとしています。この点、番組では子どもの食の貧困=飢餓という狭い視点しか提供できていなかったのは、もったいないところですね。

フードバンクによる個別支援の必要性については、番組内でも国谷キャスターから指摘がありましたね(解説の先生は答えられなかったですが)。しかし日本の場合、まず、フードバンクにはその余力がないのもありますが、個別に配ることで利用者がスティグマ(恥)を感じる恐れがあり、実施は難しい現状にあります(ただし例外があって、社会福祉協議会では生活給付金の貸付の際に、一緒にフードバンクから提供された食事を配っているというところがあったりします)。また日本のフードバンクでは北米のようなコミュニティベースでの活動がほとんど無いのも現状で、なかなか地域でのシステム作りにはまだつながりません。

国谷キャスターがさらに、「フードバンクへの経済支援は十分なのか」と尋ねていました。これにも、解説の先生は十分にお答えには成られていなかったのは残念です。「制度化してNPOの自由な活動を損なってはいけない」と回答されていましたが、実際のところ、北米と比較し、日本ではフードバンクは法整備が十分ではなく、企業協力があまり得られていないのが現状です。もちろん、多くのフードバンクはボランティアベースでの活動で、経済的にはかなり厳しいです。

食の問題は、切り口が多様なだけに、カナダの事例の参考にして、包括的なコミュニティケア、コミュニティディベロップメントの視点で取り組めないかというのが、私の問題意識です。子どもだけでなく、お年寄りやその他の世代も含めて。

しかしそれでも、「お腹いっぱい食べたい」という子どもの声は、胸につらく響きますね。

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