考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

スポンサーサイト

Posted by sakunary on

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カナダの政権交代と日本への示唆。

Posted by sakunary on   0 comments   0 trackback

カナダで国政選挙(下院選挙)の結果、10年ぶりに政権交代。きわめて右寄りの保守党から中道左派の自由党へ。首相となるトルドー氏はカナダを多文化主義国家に導いた「伝説の首相」トルドーの息子だ。しかし、二枚目だがまだ若く、政治手腕には疑問の声もあった。

参考:フィナンシャルタイムズ紙社説「新首相と中道左派に託したカナダ」


スター紙が伝えるところ(フォーラム・リサーチの調査)によれば、カナダ国民がトルドー自由党を選んだ理由は、第一に変革。第二に経済政策、とのこと。原油輸出国のカナダでは、最近の原油安によって景気が後退している。国民としては経済問題がきわめて重要だった。保守党は経済政策では定評があったが、今回はさすがに人気を落とした。景気立て直しのため、自由党のトルドー氏は、3年間の、財政赤字を顧みない大幅な財政出動をすると訴えてきた。ちなみに大幅な財政出動は、日本ではアベノミクスが行った第二の矢にあたります。でも、世界的には、左側の政策なんだよね。また、日本ではTPPに影響と一時報道されたが、自由党は自由貿易に賛成であり、選挙後、トルドー氏は米国のオバマ氏と枠組み継続を確認したという。

経済的な理由が政権交代の要因として注目されがちだが、トルドー氏の政策は、それ以外にも興味深いものがある。まず、保守党政権下で一方的に脱退した京都議定書の地球温暖化防止枠組みに、復帰する予定。また、シリアからの難民を大量に受け入れると共に、ISへの空爆からカナダ軍戦闘機を撤退させるという。私がこの夏トロントに行ったときにも、クルド人系移民がデモをしていたが、ISへの空爆は民間人も犠牲になっているとして、批判が強かった。ISとの戦いから撤退するわけではなく、クルド人兵士のトレーニングにシフトするなど、国際的な平和への責任は果たす。なお、保守党は多国籍平和活動に消極的だったが、自由党は前向き。この辺も日本の右翼左翼と異なる点だ。

しかしもっとも面白いのは、今回の政権交代では、単に「右から左へ」シフトしたのではなく、右に左に割れていた国民の支持が中道に集約した点にある。実は今回、もっとも議席割合を減らしたのは、これまで野党第一党だった左翼のNDP(新民主党)である。この夏、保守党がイスラムの女性が顔を覆うニカブ(ブルカ)を公共の場で禁止することを主張した。日本の左翼政党と同じで、政府の「逆張り」をするのがNDPの戦略なので、NDPはそれに反対(つまりニカブ着用賛成)した。しかし、NDPはケベック州(フランス語圏で独立の気運も未だある)で強かったのだが、ケベックはニカブ着用を公務員で禁止するなど、この件ではきわめて保守的な地域。NDPはケベック州での支持を失い、あえなく失速していった。

いずれにしても日本では現在、右と左の政党の主張が極端すぎて、選択肢が無い(あるいは消去法でしか選べない)状況にある。これは小選挙区制の弊害で、極端な政策を訴えることが選挙に有効と考える政治家が多くなったからと言われる。良識の府といわれた参院でさえも、極端な主張と奇抜なだけのパフォーマンスが目立ってきた。政権交代も極端に左右に振れているのが最近の状況。カナダのように中道政党がきちんと復活し、支持を得られるようになるまで、まだまだ時間がかかりそうであり、それまでは「消去法」が続きそうなのは残念というか、なんというか、である。
スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://sakunary.blog134.fc2.com/tb.php/236-6d9cddb2
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。