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桜井政成研究室

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

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Posted by Masanari Sakurai on

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社会人で大学院入学・進学を希望される方への注意書き

Posted by Masanari Sakurai on   0 comments   0 trackback

 私は社会人の方の院進学は大歓迎です。現役生(留学生含む)の進学よりも問題意識を強く持っていて、タイムマネジメントも上手で、おまけに現場第一線の情報はこちらも大いに刺激になります。


 ここでは、社会人で社会科学系の大学院に行きたい人向けのガイド、というより注意書きをまとめています。これまでに私が希望される方とお話しする中で、たまにご期待と提供できるものの間にずれがあって、入学されてから期待外れになってしまっては申し訳ないな、と思うことがあります。そんなときは誤魔化さずに率直にお伝えするのですが、そうしたことの中で、典型的な事柄をまとめています。

 なお以下の話は、2年制の修士課程(博士前期課程)と、3年制の博士後期課程の大学院で、論文を書いて修了するところを想定しています。一部の専門職大学院では1年間で修士号取得できたり、修士論文を書かずに修了できますが、そうした大学院は対象とならない話ですので、ご注意ください。
(2018/1/8追記。修士論文を書かなかったり、1年で修了できる場合は、修士号ではなく、「修了証明書」のみのケースが多いようです。これらの大学院は1.にある「カルチャーセンター」に近いかと思います。ただその場合、博士課程への進学へは極端に不利になりますからご注意下さい。)

1.大学院はカルチャーセンターより自動車運転教習学校に近いです
 これは私が一番最初にお伝えしていることです。大学院、特に博士課程というのは、現在、研究者の「普通運転免許」取得のための教習所なのです。多くの大学が、教員としての採用に必要な最低条件として、博士号の所持を挙げています。ですから多くの大学院では、博士号を書き上げることが、大学院の最終目的となっています。
 そのため、細かい交通安全規則(調査方法や論文執筆のルール)の理解や、運転実技(先行研究を読み、調査し、学術論文を実際に書いてみる)ことが、大学院で行うひとつの重要なことになります。教養を深めたい、長年の経験を本にしたい、などといった目的にはそぐわないので、ご注意下さい。

2.修士論文、博士論文では、自分の経験をまとめない方が良いです
 これにはいくつか理由があります。ひとつは、単純に、経験談では論文にならないからです。そして上に書いたように、大学院で達成することは、そもそもの目的が違うので、そこにこだわるとあなたにとって、不幸な結果を生む可能性が高いです。基本的な研究の素養も身に付かず、「経験」も中途半端な形でまとめることになる、など。あなたの長年の経験をまとめるのは、修士論文(または博士論文)をきちんと書いてからでも十分ではないでしょうか。
 ただしこれは少し矛盾するのですが、「現場」のデータが正当な手続きに則って取得できるのであれば、それに越したことはありません。公私混同に注意すれば、よい実証論文を仕上げる近道になると思います。

3.論文執筆に必要なのは熱意や知識ではなく、先行研究とデータです
 入学後の指導では、あなたがどんなに研究対象への熱い思いや、自身の経験を元にした現場の詳しい状況・具体例を語られても、おそらく指導教員の先生は「先行研究まとめてきて」、「データ持ってきて」、「とにかく書いてきて」しか言いません。上にも書いたように、それこそが、「ドライビングスクール」としての大学院で必要な作業だからです。

4.大学院では、本ではなく、論文を読みます
 上と同じ理由で、(分野にもよりますが)大学院で読むのは、多くの場合、自分の研究に関連した論文が中心です。本ではありません。もちろん、関連した学術書は「参考文献」になりますが、学術書でない「一般書」や「教科書」は研究には直接使えません。
 たいてい入学前(あるいは入学したて)の方には、どれが学術書で、どれが一般書か区別が付かないことも多いかと思いますので、論文を読んでおいた方が無難です。本は、気分転換に読むぐらいがちょうどよいでしょう。

5.語学と調査分析手法は独学で身につけなければなりません
 論文を書くためには語学(おおよそ英語でOK)や、量的か質的の調査分析手法の取得も必要です。日本の大学院、特に博士課程ではあまりそれらを丁寧に教えてくれないので、独学で身につける必要があります。特に博士課程においては、世界的な研究状況を踏まえ、自身の論文を書く必要がありますので、少なくとも英語の「読み」(できれば「書き」も)が最低限必須となってきます。

6.博士号をとっても、大学教員にはなれません(涙…)
 博士号を取得しても、それだけではすぐに大学教員にはなれません。修士号では言わずもがな。小中高の教員免許と違って、博士号所持は最低基準で、後は募集分野に見合った研究業績(主に執筆論文)がどれだけ充実しているかで決まります。実務経験も大手の大学ではほぼ評価されないと思って下さい。

 こうしたことをご理解頂ければ、大学院は社会人の方にとって、とても刺激的な知的トレーニングの場となると思います。「教養を深める」場ではない、と書きましたが、結果的に、科学的な知へのアクセス方法、整理方法を身につけられる、「視野が広がる」機会をご提供できると思います。(繰り返しになりますが、これは2年制修士、3年制博士課程の話。1年制修士や修論書かない修士には当てはまらないので…そちらはそちらで、意義のある教育システムかとは思いますが。)

 あと、これはついでですが、希望する指導教員にアクセスする前に、その教員の専門分野ぐらいは事前に調べてほしいなと思います。できれば最近の論文(本ではなく)2,3本くらい目を通し、どのような研究を最近行っているか知っておいた方がいいかと思います。内容は全ては理解できなくても、大学の紹介サイトでは分からない、その教員の最近の関心や、研究手法を知ることができるかと思います。調べ方は、Google Scholarが手っ取り早いし、それで業績がひとつも出てこないような研究者は…以下自粛。
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