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桜井政成研究室

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

2018年度卒業論文集の巻頭言

Posted by Masanari Sakurai on   0 comments   0 trackback

 卒業論文の執筆お疲れ様でした。皆さんにとっては一生に一度のことかもしれませんが、私は何度目かの指導(執筆ではないですが)です。しかしながら、そこには毎年のように新鮮な、思いもよらない気づきがあるものです。
 今年は私が終盤体調を崩したこともあり、十分に指導をできず、忸怩たる思いがありました(受講生数が多過ぎたのもありますが)。それにも関わらず、本年度の卒論の内容は、例年に比べて遜色ないか、むしろ、光るものを持っている論文が多い年になったのではないかと考えています。
 2〜3年前から、卒論の執筆指導については、私は一定の「型」を、受講生の方たちに指導してきました。皆さんもそれをくどいほど聞かされてきていますから、もうここであえて書く必要はないと思います。ただそれに加えて、本年度は何度か、あるいは何人かに、「面白いものを書いてください」とお伝えしてきました。“面白いもの”とは、執筆する自分自身が面白がることのできるテーマ、であるのが第一です。最後まで集中して、丹念な内容を作り上げるためにはそれが大きなモチベーションとなるからです。
またそれは、指導する私にとっても“面白いもの”であることが有難い、ということでもありました。私が指導するモチベーションになるということもありますが、それだけではなく、私から見て“面白い”テーマというのは、決して私では書けない、皆さん自身が持つかけがえのない興味関心が投影されていると感じるからです。多少荒削りでも、学術論文としては今まで誰もチャレンジしたことのない、時代のエッジを切り取るテーマ。あるいは、今の皆さん自身でしか書けない、等身大の視点から描かれ結像するテーマ。そうした作品の数々が詰まった煌煌しい卒論集に、今年度はなったのではないかと思います。
守破離(しゅはり)という言葉があります。元々は能楽の言葉ですが、師の教えを守り、破り、そして離れていき自分独自の世界を完成させる、という、技芸のひとつのプロセスをなぞる言葉です。非常に堅苦しい「論文」という方を皆さんに押し付けましたが、それを守ることができたかは、最低限の基準でした。そして今年は嬉しいことに、多くの作品がそれを破っています。離れたのかもしれません。しかし、どの作品がそうであるかは私が決めるものでもないのかなと思います(成績評価はしていますが)。それらはお互いに争っていて、甲乙つけがたい、見る人によって評価が異なるはずです。いわばバトルロワイヤルな卒論集、とも言えるかもしれません。ぜひ、他の方の作品にも目を通してみてください。そこからまた新たな気づきが得られるかもしれません。
最後になりましたが、ご卒業おめでとうございます。皆さんがいつまでも健やかに楽しく過ごせますことを祈っております。


立命館大学政策科学部 教授
桜井 政成

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