考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

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参与調査法の授業

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今年初めて開講の授業でありながら、個人的理由もあって夏期集中になった。しかしそれがかえって、面白いプログラムを組めることにつながった。
京都府の政策評価をこの大学院の授業とからめ、宇治拠点をベースにして、質的調査分析によって行うことができたからだ。

質的分析、すなわち定性的なデータ分析が定量的な分析と大きく異なる点は、客観性を前提としないところにある。
というよりも、定量的分析が前提とする客観性へのアンチテーゼから発展した調査分析手法である。
果たして誰にとっても客観的な結論などあり得るのだろうか?または、限られたデータから語られる「客観性」にどれだけの意味が有るのだろうか?
それであれば被験者(または集団)の主観的な「意味的世界」を重視することこそ意味があるのではないか。
そうした発想が質的データ分析の根底思想として存在する(社会構成主義)。
(その意味では、よくある「ケーススタディ」は質的なデータ収集とは言えるかもしれないが、質的なデータ分析だとは言えない。)

つまり今回の調査では、政策評価の「客観性」を疑うところから始まっている。
客観的な評価といっても、それって実は政策担当者や研究者の論理で恣意的に分析しているだけなんじゃないの?その評価にどれだけの意味があるの?だったら「補助金受ける側の論理」から、その意味的世界を重視して評価してみたらどうなるの…というのが今回の問題意識として、ある。

今回の分析は京都府から「地域力再生プロジェクト支援事業交付金」を受けた諸団体が対象で、その成果の検証。
都市部から農村部まで地域も様々であり、地域団体、NPO、任意団体など組織形態も様々である。

受講生が数グループにわかれ、それぞれが団体で聞いた話をテープ起こしして、所定の分析手順(今回は修正版グラウンデッド・セオリーに従った)にそって分析。最終発表に望んだ。

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その成果は思った以上。
最終報告会で府やNPOの方々とのディスカッションが盛り上がって、なかなか授業が終わらなかったのがその証左である。

各地域なり団体にはそれぞれのストーリーがある。
それを質的な分析によって浮かび上がらせ、そしてそれらをさらに比較することによって、隠されたストーリーとも呼ぶべき、共通する新たな「視点」が浮かび上がってくるのだ。
この「浮かび上がってくる」ところこそ、質的分析の醍醐味。
思ってもみなかった共通の視点から、各サンプルのストーリーが再構成されていく。そして再度、全体の分析結果がまとまるのだ。

さあ、各ストーリーの再構築だ!というところで今回の授業はおしまい。
連日遅くまでテープ起こしや、コーディングでひぃひぃ言って、これから面白いところだ、というところで授業が終わるのは、受講生にとっても仕掛けたこちら側にとっても、とても残念。。。

最後に、準備からお世話になったPDの寺村さん、当日お世話になった中井さん、ありがとうございました。
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