考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

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(書評)「ヨーロッパにおける公共政策と社会的企業:制度化の挑戦」(M. ニッセンス編 社会的企業 第17章)その1

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Laville, J. L. and Nyssens, M. "Public policies and social enterprises in Europe: the challenge of institutionalization. (M. Nyssens ed. "Social Enterprise" Chapter 17) の要約。

本書は前回のエントリで紹介したPERSE リサーチプロジェクトの成果を踏まえ、各国の状況や、様々な理論的切り口によって分析した研究書であり、EUの労働包摂型社会的企業(work integration social enterprise; WISEと略記)についての包括的な分析となっている。

その中でも本章では、筆者らは、ヨーロッパにおけるWISEの発展と社会政策との関係性について、「政策的埋め込み」という概念からの分析を行っている。

この政策的埋め込みという概念は、社会学的新制度学派、中でもグラノベッターなどが提唱する「埋め込み」(社会的埋め込み)embedness 概念と、ポランニィの再生産概念をベースとして構築されたものだ。

グラノベッターが提起した埋め込み概念とは、人間関係のネットワークを基盤として、人びとの選択は他の個人の行為や選択に関連しているという考え方である。グラノベッターいわく「固定化された社会ネットワーク」と制度は定義できる。そのためネットワーク分析は制度の形成を説明する要因を理解する助けとなるに違いない。

しかしながら、ネットワーク分析は、それらのネットワークに存在する文脈を見にくくする。これに対しディマジオとパウエルは組織フィールドと制度的同型化という概念を用いて、組織が社会的に認められる「制度」的なモデルを受け入れ、正当性を得ようとするプロセスを説明した。

しかしこの制度同型化仮説では、組織間の相違や、イノベーションについては説明できない。(注:イノベーションについてはこの社会学的新制度学派の中では新たに制度起業家という概念が登場し、説明されつつありますが、本稿ではそれはふれられておりません)

話は変わり、ポランニィの概念の説明になる。
ポランニィは政策的埋め込みについて、政治的な秩序に統合された経済という形で言及している。経済とは財やサービスの生産・循環形態を管理する政治的なルールという意味の、制度的なプロセスなのである。
筆者らはこのポランニィのアプローチを援用して、以下の二つの流れから仮説的に現代的民主主義における経済について位置付ける。
第一に、非埋め込みの方向から、自己規制的な市場と単一的な企業形態を減らす存在としての経済である。第二に、まったく逆の流れである。すなわち、経済の政策的再埋め込み化である。このような視点で、サードセクターと政策との関係性を、EUにおけるWISEを例として分析する。


…まだ分析枠組みの提示のところだけの要約ですが、今回はこの辺で。



Social Enterprise: At the Crossroads of Market, Public Policies and Civil Society (Routledge Studies in the Management of Voluntary and Non-Profit Organizations)Social Enterprise: At the Crossroads of Market, Public Policies and Civil Society (Routledge Studies in the Management of Voluntary and Non-Profit Organizations)
(2006/09/11)
Marthe Nyssens

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