考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

募金が被災地の役に立つには?

Posted by Masanari Sakurai on   2 comments   1 trackback

今回の東北関東大震災にて甚大な被害に遭われた方々、そしてご家族や関係者の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧を、心よりお祈り申し上げます。

被災地において、日夜を問わず被災者救助をはじめ災害対策に全力を尽くしておられる皆さまに、深く敬意と感謝の意を表します。

忘れて欲しくないのは、日本全国(いや、世界中の)人達が被災地のことを気にかけているということです。
それはまさにいま盛り上がっている寄付(募金)の気運からもよくわかることです。

このブログでも今年はたびたび寄付について取り上げてきました。
今回は、大地震が起きた後、現在までに起こっている寄付を取り巻く状況について整理すると共に、それをどう考えていったらよいかを簡単に整理しておきたいと思います。

まず最初に、今回の大震災での寄付動向について、今までにはなかったと思われる、「評価すべき点」をあげておきたいと思います。


評価1:多くの人が「自分にできることは」と考えた結果、寄付を行っていること

すぐできることはボランティア、寄付、献血だ、というメッセージがツイッターを通じて私のところにもしょっちゅう回ってきましたし、また、多くのブログでも取り上げられていました。しかしボランティアは今でもなかなか現地の受入体制が整っていないですし、また献血もナマモノなので必要量は限られているしまた採血に時間もかかるということで、多くの方は寄付を選択したかと思われます。


評価2:非常に多様な寄付チャネル(寄付方法)が迅速に開設されたこと

さらに今回驚いたのは、震災発生後、きわめて短時間に、多くの主体が多くの形態で募金を集め出したということ。この様な現象はこれまでの災害支援募金はなかったことではないでしょうか。

例えば、カードやネット通販、ネットサービスで貯めたポイントを使って寄付するサービスはこれまでもあったようですが、各社一斉に今回の大震災被災地支援への募金用に対応を始めました。

(参考)眠っているポイントで被災地を支援しよう!

(余談ですが、こうした情報がネット上で飛び交い、そしてこのサイトのように迅速に整理され、発信されたのも今回の災害支援の特徴のひとつではないでしょうか。)


評価3:現地で活動するNPO・ボランティアのための活動資金として
 
さらに、現地で活動するNPOやボランティアを支援する募金が設置されたことも指摘しておきたいことです。
これは16年前の阪神大震災ではありえなかったことで、NPOやボランティアの存在感が日本において一定の評価の元で定着している証拠だと思いました。

例えば中央共同募金会ではいち早く、3月15日から「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」を設置しました。

(以下、中央募金会ホームページより引用)


1.募金の趣旨
東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震(東北関東大震災)における被災者の救援活動は、全国のボランティア団体・NPOが大きな役割を果たすこととなります。
しかし、被害が極めて甚大であることから、救援活動は広域化、長期化し、活動に要する費用もかなりの額にのぼると考えられます。
こうした活動を資金面で支援するため、中央共同募金会では、被災地で活動するボランティア団体・NPOへの支援募金を展開することとしました。
現地に赴いて活動はできなくても、ボランティア団体・NPO団体の応援を通じて被災地を応援したい方々など、ひろく国民から寄付を募ります。
皆さまのご協力をお願いいたします。
なお、この募金への寄付金には、税制上の優遇が認められています。




こうしたすばらしい動向がある一方で、今回の募金や寄付を巡っては、ちょっと気をつけておいた方がいいんじゃないかなぁ、と思うこともいくつかありました。
せっかく被災地に役立つようにと募金されるのであれば、こうしたことは知っておいて損はないよ、という「注意すべき点」を、以下にまとめておきます。


注意1:どこでどうやって募金しても被災者の役には立つ?

さすがに街角に募金箱持って立ってる団体名も分からない「募金サギ」にひっかかる人は少ないようです。しかし、コンビニや飲食店等で置いてある募金箱でも、一体どこに寄付するのかを明記していないものもあります。ぜひ、確かめて下さい。

実は私の行きつけの喫茶店でも募金箱が置いてあり,小銭がぎっしり入ってたのですが、寄付先は書いてありませんでした。「どこに寄付するのですか」と店員さんに聞いてみましたが、困ったように笑って、わかりません、と言われました。(まあ、お付き合いで小銭を入れてきましたが。みんなこれでよく寄付するなと思いつつ。)


注意2:募金したお金はすべて被災地の困っている人達に渡される?

これ、実は大きな誤解です。というよりも、寄付というものの性質について理解を頂く最良の機会だと思ってます。
寄付は、すべて対象者には渡りませんが、それはそれでいいのです。

そう言い切ってしまう理由。
その1は、義捐金を集める団体が、無報酬では活動できないということです。
ご家庭や職場でお金の出入りを扱ったことのある人ならばおわかりかと思いますが、一円単位で間違いなくお金の出入りを管理するというのは大変な仕事です。さらにそれを、被災地で被害に遭われた方にお配りするとなると、希望者に広報し、その人たちの状況を把握し、そして分配するという、結構手のかかることがいろいろとあるわけです。
寄付はするけど団体の経費には使わないでね、というのは私は、会社が、給料は出すけど生活費には使わないでね、と従業員に言うようなものではないかと思っています。
もちろんそれが理解されるよう、募金を集める側の団体ではきちんと情報公開をしなければならないことは言うまでもありませんが。

情報公開が充分でない場合、誤解を与えるケースもあります。
例えばある団体では直接被災者に渡すよりも支援活動に使用し、またそれが終了した場合には別の地域(海外)での活動資金に使用するようです。しかしこの点、誤解を与えるような説明をホームページ上で行っているとして、懸念の声がネット上では交わされていました。

これに関連するのですが、理由その2として、義捐金として直接被災者に渡すお金以外にも、今回の災害での被災地支援を行う団体支援のとして寄付をする選択肢を考えてもよいと私は思っています。
これは次の「注意点」にも関わってきますので、以下であわせて説明します。


注意3:大きな団体に寄付するのが信頼できるし一番よい?

実はこの点、私が一番、今回の募金動向で気にかけていることです。
多種多様の団体・企業が募金を募りながら、結局のところ必ずといっていいほど、そのお金の行き先は二大募金先(日本赤十字社中央共同募金会)になっています。
もちろんそれが間違っているわけでもありませんし、そしてより多くの寄付が集まればよいとも思っています。

しかし、これは知っておいてください。
実は皆さんが寄付したお金が被災者の手に渡るのは、実はずっと先なのです。

ではどのように募金は被災者に渡されるのでしょうか。
日本赤十字社のホームページには以下のように書かれています。


Q1.今回の義援金はどのように使われるのですか?
A. 「義援金」は、国内で発生した大規模災害に対して皆さまからお寄せいただくもので、全額を義援金配分委員会(※)に送金いたします。その後、同委員会で立てられた配分計画に基づいて、被災者の方々へ届けられます



2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震を例にとりましょう。(以下、こちらこちらのサイト参照)
この時、義援金配分委員会は9月3日に設置されました。
そして、義捐金受付団体だった新潟県、日本赤十字社新潟県支部、新潟県共同募金会、報道機関から義援金配分委員会に、そして市町村に、それから被災者に渡されました。
最も早い第一次配分として市町村に義捐金が渡されたのは9月30日だそうです。約2ヶ月半後です。
最終的に被災者の方の手に渡ったのは、さらに後であることが予想されます。
(※なお今回の大震災被害は複数の都道府県に渡ることから、さらに時間がかかることも予想に難くありません)

つまり、皆さんが今日あるいは一週間前にした寄付は、どんなに早くてもこれから2ヶ月半先まで被災者の手に渡ることはないと思ってください。

では、今すぐ困っている人の役に立つためには、どういうふうに寄付すればいいの?と疑問に思ったかも知れません。
私がおすすめするのは、いま現地で活動するNPOやボランティアのためになる寄付です。
(これが、先ほど寄付が直接被災者に渡る分だけでなくてもよいということであげた理由の2、ですね。)

実は被災地に駆けつけているNPO・NGOの多くが、普段の活動でも資金が充分ではないところが多いのです。
にもかかわらず、身銭を切って現地に駆けつけているのが現状ではないでしょうか。
今まさに必要なのは、こうした団体に寄付することによって、避難所等で緊急支援を行うことを間接的に支えることなのです。それによって現在の緊急的な状況の中で被災者の生活を支えることにもつながるのです。

先に述べたように、中央共同募金会ではいち早く、3月15日から「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」が募集されました。

ただこれも、いつ、どのような団体に配分されるのかは同団体ホームページではまだ明らかにされていません。
もっと直接寄付したい、という人には、以下のサイトには現地で活動しているNPO・NGOや、それらを支援する基金の情報がまとめられています。
ご参考下さい。

It's Real Intelligence/「どこに寄付をしたら、どこにお金が行くのか」


最後に。
被災地では間違いなく、これから何年にも続く復旧/復興活動が必要になってくると思います。
そのために息の長い支援もが求められるでしょう。
そしてこれも間違いなく、多くのNPO・NGOがそのためのプロジェクトに取り組むはずです。
被災地の緊急支援や被災者のために募金をした方は、次はこうしたプロジェクトのための資金支援をしてはいかがでしょうか。

寄付というのは、「意思のあるお金」とも呼ばれます。
寄付者にとって関心の高い問題に「投資」ができるのです。
例えば私は仕事柄、教育について強い関心を持っています。とても大切なことだと思ってます。
教育に関係して、今ぱっと情報がある被災地支援の寄付プロジェクトとして、下記の取組などがあります。


あしなが育英会では東日本大地震による震災・津波遺児への給付一時金・奨学金や心のケア活動資金としての募金を現在受け付けています。
(ただし東日本大地震・津波遺児への継続したご寄付は受け付けていないそうです)



特定非営利活動法人ソーシャル・デザイン・ファンドでは、関西の大学での勉学継続、大学進学に必要な資金、高校生以下の学生・子どもに対する各種支援を提供するための基金「We Share a Dream基金」を設立し奨学金を提供することを決定しました。



所得の1%は寄付を、という呼びかけもあります。
私は可処分所得(おこづかい)の1%でもいいと思っています。
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Comment

きたもとゆうこ says... "掲載ありがとうございます。"
「眠っているポイントで被災地を応援しよう」を作成・更新している、きたもとと申します。

掲載ありがとうございます。実は立命館大学卒業生なので、立命館の先生のトピックスに取り上げていただいて、非常にうれしく思っております。
支援の輪の広げ方として、阪神淡路大震災を知る者として私はこの形を選びましたが、いろんな支援の仕方がありますよね。学生の方が自分で考えて動いてくれればいいなと思っています。
2011.04.20 12:16 | URL | #3un.pJ2M [edit]
sakunary says... "Re: 掲載ありがとうございます。"
わー、コメントへのチェックがものすんごく遅くなってしまい、大変失礼致しました!
義捐金も、予想通りに配分が遅れていますね。
国家による再配分のシステムが非常時にどれだけ機能しないのかが皆よくわかったので、日本ではNPOなどを通じた直接支援システムが発展するかも知れないな、と思っています。
2011.06.25 23:43 | URL | #- [edit]

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