考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

スポンサーサイト

Posted by sakunary on

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

震災ボランティアの単位化?

Posted by sakunary on   0 comments   0 trackback

アサヒ・コムの2011年3月31日23時4分の記事。

震災ボランティアの単位認定、全大学に要請へ 文科省


 文部科学省は全国の国公私立大学に対し、学生が東日本大震災の被災者支援ボランティアに参加した場合、その活動を大学の単位として認めるよう要請する方針を固めた。震災から約3週間がたち、被災地でも徐々にボランティアの受け入れ態勢が整うなか、学生による被災地支援の動きを後押しするねらいがある。

 今週中にも各大学に、ボランティア活動を単位認定すること▽ボランティア活動のため休学する学生について、その間の授業料を免除すること▽保険に加入してケガなどに備えるよう学生に周知徹底することを求める文書を出す。

 東日本大震災の発生当初は、被災地で食料やガソリンなどが不足し、ボランティアの学生が大勢で現地入りした場合、被災者に行き渡るべき物資を学生が消費してしまう懸念があった。

 また、各地から支援に集まってきた人たちに仕事を割り振るボランティアセンター機能も整備されておらず、「募集がかかるまでは現地に行かなくてもできる支援活動を」(明治大学)と、被災地入りを自粛するよう学生に呼びかける大学もあった。

 その後、被災地では物資不足は完全に解消されていないものの、被災各県のホームページなどでボランティアの募集が始まり、春休み中の学生たちが相次いで現地で活動を始めている。こうした状況から、文科省は学生のボランティア参加を推奨するねらいを込めて、通知を出すことにした。(青池学)



誤報でなければ、個人的には大反対ですね。
(2011/4/2追記。誤報ではなかったようですね。追記欄に全文掲載。)

ボランティアを単位化するのは、平時であれば、条件付きでは賛成できます。
それはサービスラーニングという、学生の学びと地域への貢献とが両立できる枠組みが形成され、そして学生の学習成果が確認できてているという前提での、ものです。
ただボランティアしたという行為に単位を与えるのであれば、アルバイトでも家事でも旅行でも何でも単位を与えたらよろしい!ただしそんなものは大学とは呼ばない、と思います。

サービスラーニング的な構造的な学びの仕組みを持たず、単にボランティア行く学生に単位を与えろと言うのは、ボランティアを真剣にやっている学生にも失礼ですし、また大学教育を馬鹿にしたもので憤慨しています。教育を管轄している文科省が、こんな想像力の欠如した文書を出す時代、困ったものです。

ただそうした本質的な問題以外にも、この有事に、こうした形での文科省のお達しには、具体的に様々な矛盾をはらんでいます。

文科省はこれまでに「カラ講義」(授業実態がないのに単位化すること)については厳しく取り締まってきました。時には私学助成金の減額などもちらつかせたりと、実質的な「罰」も加えつつ。
また、文科省は半期15回、必ず授業を行うことも徹底して大学に「指導」してきていますね。

にもかかわらず、非常時だからと、何でも良いから大学では単位にしろと。そこには論理的な一貫性は見られないのではないでしょうか。そして平時だろうが有事だろうが、いずれにしても大学の自律性は一切認めないという姿勢が伺われます。

また、リスクマネジメントの観点も抜けています。
ボランティア保険に入った上で、とのことでありますが、結局、ボランティア中にケガをしたり、万が一命を落とすようなことがあれば、授業の一環としてであれば、責任を問われるのは大学です。しかし被災地まで学生がボランティアに行くような場合、教員が監督できるわけがありません。今回の通知は、そうした無責任な体制を容認しておきながら、最終的な責任は大学に帰属させようとしているものではないでしょうか。

さらに、関西では非現実的です。
単位化しても、授業を受けに大学通いながら、被災地でボランティアもできる学生はいないでしょう。全国一律的に通知するのはおかしいです。(しかしこの通知は震災関連だけで、それ以外のボランティアを対象にしないというところも大いに矛盾しているのですが)

ただでさえ今の被災地の状況、県外/市外からボランティアを受け入れている=泊まりでできるところは数える程しかありません。ニーズは大いにあるのですが、ロジスティクス(兵站)がなく受入体制も整っていないのが現状なのです。関西から学生がのこのこ行ける状況ではないでしょう。単位目当ての学生がもしもいたら、現地の迷惑です。
→参考「東北地域太平洋地震災害ボランティアセンターマップ」

なお私は大学生がボランティア活動を通じて学びや得がたい経験を得ること自体は、どんどんやってほしい、推進派です。
そしてもちろん、多くの震災ボランティアが被災地の助けとなって欲しいとも願っています。
でも、それとこれとは別。
ちょっと頭にきたのでブログに書いてみました。


私はボランティアを休学の理由にするのは賛成です。
一種のギャップイヤーですね。
多くの大学が認めたらよいと願ってます。
NPO法人ブレーン・ヒューマニティがボランティア休学を認めるよう、訴えていますが、今回のボランティア単位化の件、それを民主党がちょっと間違った形で受け取った可能性があるのかも、と同団体ブログから推察(邪推)。また間違った「政治主導」がなされた結果でなければよいのですが。

おまけ。
サービスラーニングや大学生のボランティア支援についてはちょっと前に以下の本としてまとめさせて頂きました。
本学の取組を中心としながら、国内外の大学の事例をご執筆頂いております。
宣伝、失礼!

ボランティア教育の新地平―サービスラーニングの原理と実践ボランティア教育の新地平―サービスラーニングの原理と実践
(2009/10)
不明

商品詳細を見る



追記です。
以下、通知の本文を載せておきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
東北地方太平洋沖地震に伴う学生のボランティア活動について(通知)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

23文科高第7号
平成23年4月1日

各国公私立大学長
各公私立短期大学長  殿
各国公私立高等専門学校長

文部科学副大臣
鈴木 寛
(印影印刷)

東北地方太平洋沖地震に伴う学生のボランティア活動について(通知)

 このたびの東北地方太平洋沖地震等により被害や影響を受けている大学及び高等専門学校(以下「大学等」という。)においては、被災した学生の修学上の配慮等について、文部科学省から発出した通知等を踏まえ、既に様々な対応を講じていただいておりますこと改めて感謝申し上げる次第です。

 今後、災害復旧の進捗状況に応じて、ボランティア活動への参加を希望する学生が出てくることが見込まれます。

 学生が、大学等の内外において、学修成果等を活かしたボランティア活動を行うことは、将来の社会の担い手となる学生の円滑な社会への移行促進の観点から意義があるものであることから、被災地等でボランティア活動を希望する学生が、安心してボランティア活動に参加できるよう、下記の諸点にも配慮して、引き続き学生への指導等をよろしくお願い申し上げます。







1.ボランティア活動のための修学上の配慮

 ボランティア活動参加者に対し、補講・追試の実施やレポートの活用による学修評価、休学した場合のきめ細かな履修対応などを通じ、学生がボランティア活動に参加しやすい環境作りに配慮すること。

 各大学等の判断により、ボランティア活動が授業の目的と密接に関わる場合は、ボランティア活動の実践を実習・演習等の授業の一環として位置付け、単位を付与することができること。

 ボランティア活動のため休学する場合、その期間の学費の取扱など学生の便宜のための必要な配慮を図ることが考えられること。



2.ボランティア活動に関する安全確保及び情報提供

ボランティア活動は内容によっては危険を伴うものもあることから、参加する学生に対し事前に安全管理の徹底やボランティア保険等(参考1「学生ボランティア活動に関わる保険の例」参照)への加入を呼びかけるなど適切な指導に努めること。

被災地における状況や学生ボランティアによる支援要請等に関する情報について、文部科学省ポータルサイト(参考2「子どもの学び支援ポータルサイト」参照)などを活用しつつ、学生に情報提供を行うこと。

• (参考1)学生ボランティア活動に関わる保険の例 (PDF:61KB)
• (参考2)子どもの学び支援ポータルサイト (PDF:129KB)
スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://sakunary.blog134.fc2.com/tb.php/59-a96356d6
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。