考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

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障害のある高校生の就職は100%!?

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茨城新聞の記事で、次のような記述を見かけました。

車椅子での就職に理解を 水戸養護卒の岡山さん、企業に訴え(2011年12月19日(月))

「採用担当者は障害者何級というところだけでなく、人物を見て判断してほしい」。障害者手帳1級の岡山優樹さん(18)は、今年3月まで在籍した県立水戸養護学校の立原雅子校長らとともに、大勢の企業経営者らに訴えた。同校の就職率は統計上は毎年100%だが、障害者が就職する場合は、企業などでの実習を行った上で採用となるケースが多く、「企業実習ができない生徒は就職をあきらめて就職移行支援施設などに進路変更をしなくてはならない。現実は厳しく、数字とは違う」と涙で声を詰まらせた。

■5年間で4人のみ
水戸養護学校高等部卒業生の進路状況を2010年度まで過去10年間で見てみると、就職移行支援施設(旧授産施設や作業所)への入所者や通所者が全体の71%を占める。過去5年間でも全卒業生67人に対し、就職したのは車椅子を使わずに自立歩行ができる生徒4人だけで、そのうち3人がパートなどの非正規雇用だ。それでも、統計上は就職希望者4人が全員就職し、就職率は100%となる。

県内の特別支援学校生にとって、主に高等部2、3年時に行う企業での現場実習が事実上の就職活動の場となっている。実習を重ねながらそのまま採用となるか進路変更をするかを決定していく。進路変更した生徒は就職希望者から外れ、実習を経て就職をした生徒のみを就職希望者として扱うため、数字上は高水準を維持できるという。(以下略)



う~ん、まさに数字のマジックですね。実態を知らなかったら、そうなのよかったねで終わってしまいますよ。

(実際に、上っ面の数字をなぞっただけ?な新聞記事も見つけた。奇しくも同じ茨城県の話でした。「特別支援学校、高い就職率/茨城」【2010/5/28付 産経ニュース】…元のソースが既に削除されているので、記事を引用している「自閉症NEWS Library」さんへのリンクです。)

養護学校の高等部卒業生は一般企業にほとんど就職できていないのか。
気になったので調べてみました。

ひょっとしたらもっと新しい資料があるのかも知れないが、出てきたのは2005年のデータ。
文部科学省の審議会資料より、です。

卒業者(高等部) 13,022人[H17.3] のうち…
*進学 465人( 3.6%)
*教育訓練機関等 496人( 3.8%)
*就職 2,672人(20.5%)
*福祉施設等 7,326人(56.3%)
*その他 2,063人(15.8%)


一般企業に就職しているのは全体の約2割でした。
全体の約6割、ともっとも多いのは「福祉施設等」への移行。
そしていったん福祉施設へいくと、 一般就労への移行はごくわずか (施設利用者の年間1%程度)とのこと…。

ただこのデータは古いので、2006年(平成18年)4月からの障害者自立支援法移行後の状況は、もうちょっと違うかも知れません。
しかし、だいたい同じ状況だと想定すると、障害のない若者と同じく、教育機関修了後の就職がその後の就労形態を左右してしまっていると言えるでしょう。

それ自体は障害者の雇用機会を狭めることなので改善すべきと思いますが、ただここで言う「福祉施設等」に区分される「福祉的就労」が一概に悪いとは私は思っていません。
欧米の社会的企業でも、障害者を雇用する施設は(その政府資金依存度はばらつきがありますが)もっとも典型的な形態です。

要は賃金も含め、就労形態が、障害者が自己実現できるものとなっているかどうかではないでしょうか。

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