考えるイヌ〜桜井政成研究室〜

研究メモ、ゼミなどの教育活動、その他関心事など。

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京都での東日本大震災避難者支援の現状と課題

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「皆、これからどうなるんだろう、という不安の中で日々過ごしているんです。」

本日、京都府の主催で、京都に避難している方々の支援を考える会議がありました。参加者は市民ならば誰でも参加できたのですが、私のテーブルには行政の方の他、支援団体・NPO、避難されてきた方、助成団体の方といった多様な顔ぶれでした。

現在、京都には府の施設・市の施設・UR・民間施設あわせ296世帯が避難してきています。これらの施設には入居していない(例えば親族を頼って来ているなどの)人は府では把握されていないので、実際には避難者はさらにいらっしゃいます。把握されている分での出身県別は、福島からが216世帯、宮城からが50世帯、茨城からが20世帯、千葉・栃木・岩手があわせて10世帯となっています。

全国的にそうだと思うのですが、国が、自主避難者の支援をまったく制度化していないので、京都の避難先の住宅というのは、自治体等がボランティア的に提供している状況です。京都府の施設では罹災証明/被災証明の有無を問わないなど非常に柔軟的な対応を取っていますが、それでも入居期間を2年としており、その後の延長等の対応は未定です。(延長される可能性もあるのでしょうが、それにしてもたぶん1年か2年延びるだけであって、期限付きなのは変わらず、入居された方の不安はぬぐえない、という意見も出ていました。)

このことが、冒頭の避難者の切実な声につながっているのです。
今日の会議では、避難者・支援者が、京都府職員に対し住宅対策を訴えましたが、職員さんは困った顔でした。そりゃそうです。この問題は、行政職員のボトムアップで出来る範囲を明らかに超えています。国が無策である弊害は、被災地だけでなく、遠く離れたここ京都の避難者の人達にも影響が出ています。(職員さんは会議後に「予算が…」とつぶやいてました(^_^;))

避難者のニーズは住宅・仕事・教育などですが、福島県内でも強制・自主によって状況に違いがありますし、自主避難の人でも出身市町村による違いがあります。さらに、家族の状況や、避難してきた時期などにより、ニーズは多種多様。また立ち直るステップも人によって落ち込んでいる期間が長かったり、そうでない人もいたりと、様々です。決して一括りに対応することはできません。ですから、そういった方たちを支えていこうと思ったら、「伴走型」の支援が必要になる、というのは様々な地域での実践からも明らかです。(例えばNHKクローズアップ現代に取り上げられた北九州市の事例など。)

実際、今日、会議に来られていた支援団体の人達は、実にきめ細かい支援対応を行っておられます。といっても、京都の場合、「支援の前線」にいるのは、小規模なところや、あるいは震災後に立ち上がった有志の団体が多いです。それだけに、個別の団体で対応できることが限られているので、今回のようなネットワークをつくれる場は重要に感じました。

他方で、滋賀県では12月に避難者の会が結成されたので、京都でもぜひ、という声があがりました。実際、滋賀の避難者の会の方も来られておりましたし、また、京都で会を組織し始めたという人もテーブルにはおられました。避難者の思いは避難者にしか分からないので、お互いに相談をする「ピア・カウンセリング」は重要だと思います。しかし、避難した人達は、日々の生活だけで大変であり、支援活動まで携わるのは、多くの人は二の足を踏んでしまうとのことでした。結果、避難者の会は負担が一部の人に偏りがちです。そのため、組織するのは大事ですが、支援団体ネットとの連携が必要不可欠です。

今回の震災では、広範囲に津波の被害や放射能汚染がもたらされたこともあり、避難者の出身地が多様です。そのため、阪神大震災や三宅島噴火の時の避難者の様に、一枚岩になりにくい状況があります。組織化もそれに対応する必要があると思うのですが、ベストな形としては、避難先自治体別がいいのか、避難元自治体別がいいのか。あるいはもっとゆるやかでいいのか…難しいところです。

また、避難者の方を地域で見守る体制が必ずしもつくれずにいるようです。支援団体に相談があった避難者のことを地元の社会福祉協議会に伝えたら、避難者がいること自体も把握されていなかったということも、地域によってはあったようです。京都では北九州市のような住民団体・社協・NPO・行政のプラットフォームを作ることがまだできていません。

さらに、避難者の課題として出された別の論点として、放射能の問題があります。避難者の方と話をすると、京都の人があまりにも放射能汚染に無関心なことに驚かされたと言います。せっかく避難してきたのに、未検査の食品等は普通に流通しているし、子ども達の通う保育園や学校では給食の産地を気にしていない、といった状況。「放射能から逃げてきたのに、追いかけてくる。」と言っていた方も以前お会いしました。だから、それらのことについて、避難してきた側の人がいちいち学校等に働きかけなければならない状況もあります。
(もちろん、京都在住の人間で、積極的に働きかけている人達もいて、その成果も一定出てきています。京都市での学校給食の検査状況はこちらをご覧下さい→「学校給食に使用する食材の放射能検査について」

今後もこういった場が活用されつつ、避難されてきた方の生活保障がなんとかなされていくよう、個々の団体やネットワークによって、ほうぼうに働きかけていく必要がありそうです。



補足
この件、ツイッターでつぶやいていましたら、何人かの避難者の方に「京都の方には感謝しています」という連絡を頂きました。よかったです。
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